Kデスクトップ環境

第 11章aRts を「ジェネリックオーディオサーバ」として利用する

11.1. 「ジェネリックオーディオサーバ」とは何か?

サウンドカードが1つしかないけれども、 オペレーティングシステムでは同時に50個くらいのアプリケーションを走らせることができます。 従来の環境では、そのうちの1つしかサウンドカードに読み書きできません。 Linuxには/dev/dspデバイスが1つしかないからです。

しかし、この問題が明快に解決されている分野もあります。 グラフィックアダプタはたいていは1つしかありませんが、 それでも同時に50個ものアプリケーションを走らせることができます。 それぞれのアプリケーションはそれぞれ1つのウィンドウで実現されています。 そして、どこに何を配置するかを決めるウィンドウマネージャ、何かを起動する時に使うパネル、 仮想デスクトップを実現するウィンドウマネージャなどがあります。 このように、X11 などのウィンドウシステムによって問題が実に見事に解決しています。

ここでいう「ジェネリックオーディオサーバ」の考え方は、 X11のような解決策をオーディオにも適用しようというものです。 つまり、サーバがサウンドカードへのアクセス権を持っていて、 他のアプリケーションはこのサーバを通してのみサウンドカードに読み書きできる、ということです。